検索
不断
- 吉田翠
- 2020年12月16日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年1月23日
不断
一点の星の淵に沈む
そこは
やがて次の海原へと続く場所
洗い流した身体を横たえ
安楽の雫の中へと記憶を落とす
邪悪も豊かさも無い
無の中に広がる
さざ波のような喜悦はやがて静穏へ
多くをを知り
何かを成さずと信じる者は
次の意思を与えられる時まで
目覚めを待つ
遥かなる巡りの道よ
道よ
細石を抱きかかえ
悠久の中を巡れ
道よ
恍惚の叫びなどたやすく置き去る
それは命を育てる大海の
その目の中に仮に映るだけの
不断の真であれ
最新記事
すべて表示古址の秘 層のように漂う空気 動かない空気 閉じ込められた時間を 恐る恐る覗き込んでみる 目を凝らして よく見てごらん 辺り一面 生した苔と重なり合うように そこに佇む 祈りにも似た 宴の破片に気付くだろう 誰の中にもあるに違いない 隠したはずの 忘れようとしたはずの 秘する真
雪の足跡 手の平で受けるでもなく ただ甲に触れる雪 さして冷たくもなく 気にするでもない雪 わたしの歩みは何処まで来て 何処に向かうとしても 振り返る霞の中の記憶のきれぎれは やがてひと肌のぬくみに 溶けてゆく淡雪 いくらか後ろ髪を引かれても それは雪が残した...
群青 思いを馳せることすらできない古に 牙を収めた獣を 一匹の「人間」と名付けたのは 誰なのか 康寧の闇を破り 繰り返し訪れる東雲を 再び迎え入れる空を今日も仰ぐ 小さくなった人間の ひとりひとりが持つ不完全な祈りに もしも神なるものがいるのであれば...