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欺瞞

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2024年2月24日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年2月26日


欺瞞



木枠のガラス窓がカタカタと揺れる

行き場に迷った

嵐の名残りが彷徨う諦めの悪い残響


帰る人に差し向ける言葉と

待つ人に差し向けようとする瞳


瞳聖歌隊から外れた少女の歌が

わたしの腕をとるならば

軋む寝床で丸くなり

今夜見るはずの夢の中で

青白く光る事を思い出した細い月は

どうやって泣くのだろうか


告解の名を借りて

頭を垂れる前にわたしは

水の枯れた一輪を抱えたまま

再びの嵐を待とう


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