深淵吉田翠10月17日読了時間: 1分更新日:10月19日深淵胸の内に抱えた澱みは枯れた木の葉一枚動かさぬただ固くとどまる池の水夜もすがらうつうつともの思いに沈んで時を持て余す風の声に引かれて空を見やるとしののめ前の空から落ちる星がひとつ深く深くにまで染み入る雫その時ただ泣けばよいだけなのだとわたしは悟った