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狭間
- 吉田翠
- 2023年2月24日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年1月23日
狭間
窓の向こうがしらじらと
乳白色は夢の終焉
繰り返すこだまが腕を掴み
朝を告げる
否応のない苦痛に軋むからだ
夢は夢の中に置いたまま
立ち向かうのか
やり過ごすのか
母胎から出てゆく
赤子のようであれば
どれほど恐ろしかろう
光を帯びる朝露の無防備な姿
欲とはいかなるものかと
頭を垂れる
狭間にて
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