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痛哭

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 3月6日
  • 読了時間: 1分

痛哭



似非と言われ痩せ衰えた神官が


証跡を捕縛すべく


深く深くまで


爪を立てて土を掻く


草の根と小さな虫の屍と


それ以外


一体何が出て来ると言うのか


やがて手を止め


爪の中に入り込んだ


忌々しい土に唾を吐く



眠りたもうた者は


循環の渦のひと雫


それこそが神であるのかと


一天をみつめ


嘆きの声を振り絞る



あたかも眠りそびれた獣の


咆哮がごとく





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