top of page

言霊

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2020年12月16日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年3月26日

言霊


言葉が羽を手に入れて

一気に空高く駆け上がる

冷たい風に任せることもできずに

自分の意思を示そうとすると

煽られる

それでも言葉は嬉々として突き進んでゆく

言葉を失ったわたしは

ぐずぐずと手をつきながら地べたをはい回り

踏まれるほどにちいさくまるまっても

ニヤっと笑った靴底に

蹴り飛ばされる

見上げた空にはただ風が渦を巻くだけ

なんてこと なんてことでしょう だからあの時、包んだ真綿を剥がさなければ わたしは安心して……

安心して…… それは違う 貴方、それは違うわ

言葉はね

もともと意思を持つ日を知っていただけ そして貴方は

仮にしつらえられた安直な優しさの波間に 溺れていただけ 溺れていたいと願ってただけなのよ

ヒマラヤンブルーの青いケシの花のように

真綿など最初から幻想だと知っていたでしょう さぁ

顔をあげてひとりで呼吸ができることを知りなさい わたしの中のわたしの声が見限り遠ざかる

その前に





最新記事

すべて表示
潮の花

潮の花 やがて降りる漆黒の帷に抗い 遥かな水平線を壊すように 燃え流れる黄金 波打ち際で手の平に受けた潮に 慰めの言葉があるかと聞けば 忘れ去るための時間は 充分に残されていると 静かに笑うだけなのだろうか 掬い上げた潮は指の間をすり抜けて 濡れた手の平に我に帰る時...

 
 
海にきく

海にきく 人の作る喧騒が 幕を下ろした浜に座り 何時間もただ聞いていた 見ない、聞かない、感じない わたしにのしかかるものを封印して 追い払って閉じた目で 塞いだ耳で からにした心で 海に広がる水音を 何時間もただ聞いていた 風を受け入れた海はその証に立ち上がり...

 
 
雪の落ちる日

雪の落ちる日 雪の礫が胸の中を舞えば それはそれは綺麗でしょう ポッと花が咲くように 滲んだ赤を凍らせて 遠巻きに眺める雪景色 背中の傷は容易には見えず 気付いた時には かさぶたと化す マッチ売りの少女はきっと絶望した 手持ちのマッチを擦ったとしても それだけでは...

 
 
ロゴ3.PNG

 © 2017 Midori Yoshida

© Copyright
bottom of page