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讃歌
- 吉田翠
- 2024年2月1日
- 読了時間: 1分
讃歌
カラカラに乾いた大地を
一滴の水がうがつ
そこを住処に決めた痩せた草が
それを受け取り今日を喜ぶ
苔蒸した夜にも星が瞬き
猛る波間を陽が貫く
皺枯れた頬を落ちる涙に
血の通った熱を知った
去年と同じ場所に同じ花の咲く奇跡よ
生命(いのち)には力がある
それを信じることなくして
語れる言葉は何処にあろうか
万古不易なる歓喜
ただ一途に歩けよ
生命には力がある
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