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ひと葉
- 吉田翠
- 2024年1月29日
- 読了時間: 1分
ひと葉
いつまでそこにいるつもりか
風に煽られながら
カサカサと乾ききった一葉
しがみつくでもなく
単に散る時を逃しただけだ
文句はあるまいと
枝の節々に現れた小さく固い芽が
いずれ膨らむ時が来る
青々とした若い葉が日差しを浴びて
この世の春を謳歌する
かつての自分のように
それを見届けてからでも
良いではないか
何を偉そうに
枯れた葉よ
まだ未練があるのだと
そう言えばいい
頑固者めが
一体誰と誰の会話が聞こえてくるのか
苦笑いをしながらわたしは
わずかばかり風よけのつもりか
どことは無しに
手をかざした