潮の花吉田翠4月12日読了時間: 1分潮の花やがて降りる漆黒の帷に抗い遥かな水平線を壊すように燃え流れる黄金波打ち際で手の平に受けた潮に慰めの言葉があるかと聞けば忘れ去るための時間は充分に残されていると静かに笑うだけなのだろうか掬い上げた潮は指の間をすり抜けて濡れた手の平に我に帰る時その残像は海に咲く花の幻に見えて