神隠し吉田翠2024年5月25日読了時間: 1分神隠し月影ならば隠れる物陰のひとつも見つかるものを一天に広がり射抜くまたたきに遠野の里の娘のごとく囚われた時間の長さは先細る伸びた黒髪わずかなおののきに身を屈める地の神々を諌める神話それを前に徒然の詩人は筆を置きただただ禁足から逃れるための神を隠すためのしののめを待ち侘びる
痛哭痛哭 似非と言われ痩せ衰えた神官が 証跡を捕縛すべく 深く深くまで 爪を立てて土を掻く 草の根と小さな虫の屍と それ以外 一体何が出て来ると言うのか やがて手を止め 爪の中に入り込んだ 忌々しい土に唾を吐く 眠りたもうた者は 循環の渦のひと雫 それこそが神であるのかと...