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日、晴る

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2024年4月28日
  • 読了時間: 1分

日、晴る


梢でゆれる

目覚めたばかりの若葉

巣作りの場所を決める前の

いっときを遊ぶように

近くをいったりきたの雲雀が

それをつつく


遠く離れた水のせせらぎ

匂いを絡めた風の道

本当に

うららかとは

そこに居る者のこころが

見聞きし映り込んだ絵図に相違なく


春の雲雀


やがて子のひとり立ちを見送るのは


日、晴る時




*ひばりは雲雀と書きますが、「ひばり」の語源は「日晴る」との事。良く晴れた空にさえずる鳥、雲雀は春の季語です。





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