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繁栄の跡
- 吉田翠
- 2022年1月23日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年2月17日
繁栄の跡
キャラバンが見た夜空の回廊
ラクダの背が運んだ絹
人は動き道は動かず
今は打ち捨てられた都の
足跡を覆う草は痩せた装束
わずかに残る年老いた伝説は
時代に消えた北辰を指さす者
虚構を疑わずに
恐れるものを
ただ恐れていればよかった世界
キャラバンが見た夜空の回廊
北辰を指さす者
石のつぶてのひび割れに
その身を押し込んだ
たくさんの冒涜と
踏みつけられては足首を掴む
神々の切れ端
再びここで踊りだせば
情熱の吐息は
四方の目に射抜かれるのか
ドゥタールをかき鳴らす
その手に導かれ
白々とあけるはずだった夢が
地下に潜るように
作られた神と作った戦
どちらの手も届かなかった
廃墟の寝床が連なる道を
星は見下ろす