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The subconscious
- 吉田翠
- 2022年1月23日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年1月23日
The subconscious
夜明けの静けさの中で
繰り返し置き去った影
今日も来たかと眉を上げるお前は 滑稽に飛び跳ねる 異国の帽子屋のまねごとか 宮廷に巣食う 慇懃無礼な道化師か
「おやおや、神であっても影はついて回るのだぞ、ほれ」
あちらにもこちらにも見えるのは いつものように 影と名のついた顔の不確かな存在 気まぐれに歌う者 算盤をはじく者 頷きながらおかしな絵を描く者 赤く光る玉を愛おしげに抱く者 何を聴いても答えずに 静かにしろとポーズをとる者 「どうしたついてこいと言って欲しいのか」 結局は迷子のまの字も言えぬまま 睨み合った時間 今日もまた 置き去りにする影の気配を振り切って 白々とする世界に手を伸ばす わたしは何を確かめようとしたのか 疼く背中にあるものを 夢と呼ぶのか 無意識と呼ぶのか