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ある言霊の行方

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2024年1月11日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年1月23日


ある言霊の行方



艶やかな黒のしじま


繰り返し地を這う吟詠

沈む事を拒絶したいくつかの言霊が

枯れ枝の間をすり抜ける 


空(くう)を貫く星の影

凍える北辰は

眠らぬ詩人を諌める番人と化し

喉元を貫く


それでもその意思を持たぬまま

野生と化した言霊を救うのは

緩んだ頬を伝う涙と

白くなってゆく月の姿

我に返った詩人は途方に暮れて膝を折る


東雲の空

雁がゆく






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