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すすきの穂

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2024年3月9日
  • 読了時間: 1分

すすきの穂



じゃあまたねと母は手をふった


ちいさな背を折らずに歩く後ろ姿

髪染めをやめた白髪は

柔らかく哀しい



これから手を合わせる時はどうか

どうか自分のことを祈ってください

母親とは

どうしてもそれができないものだと

一番良く知っているのにわたしは

わたしはそう思わずにはいられない



ぴんと冴える冬の空

すすきの白く

豊かな穂が風を受けてそよぎ

母の髪を思う

目に焼き付ける姿を

繰り返し変えながら

まだまだだ


娘と母親のまだ道のりは遠く遠く



遠く続く




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