ひとひらなれど吉田翠4月9日読了時間: 1分ひとひらなれど── 今宵のお相手、お引き受けいたしんす──紅のひと差しを終えれば、情を捨てた花の乱。乱れ飛ぶ紙花を思いわずかに口角を上げれば、呼び出しの戦いくさはそこにありと、天下御免の仲の町に外八文字のすり跡を付ける女。ぴんと伸ばした背に、廓女郎の真を隠す哀しい嘘を見抜いたのだろうか。絢爛な闇夜に咲く桜がそのひとひらを、緞子仕立ての打ち掛けの肩に落とした。ひっそりと。ただひっそりと見る、夢のごとく。