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ほろりはらはら

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2023年2月24日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年1月23日

ほろりはらはら



ほろほろと咲くや桜

鎮守さまがおでましになって

良い子じゃ良い子じゃと

背中で眠る赤子の頭をなでておいでか


春の霞は微かに色が乗り

ため息ひとつついた後で

うなじにのぼる乳の匂いに

我に帰るのは母か女か


はらはらと散るや桜

行きがよければ帰りもよいよい

仰ぎ見ればいっときを惜しみつつ

鎮守様の懐で

杜の木々は伸びやかに


やがて青々と薫る風の中

花の命は短くと言う

枝葉の先々を楽しみに

それを祝いあげるのがお務めと


それがゆえに

何処の花もその命は短くあるのでしょう





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