top of page

天上よりの華

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2020年12月18日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年1月23日

天上よりの華



彼岸花はどうして あんなにも鮮やかな色姿なのでしょう 現し世から離れた人の心に残る 未練の破片を引き受け写したのであれば それは やがて消え行くための 一瞬の艶やかさなのでしょうか


曼珠沙華という名が先についたと教える人もいます 天上の花という意味を持つ曼珠沙華が 彼岸のほとりに咲く姿を目の奥に思い描く時

華奢でありながら強い毒を持つ身の凜と華麗な立ち姿はまるで ここから先を侵すことなかれと 姿かたちで言い聞かせているかのようです


彼岸のある場所を  見えない目の中に広がり天上へと繋がる川のほとりに思う


彼岸花は短く僅か数日で枯れていく花だと言います







最新記事

すべて表示
潮の花

潮の花 やがて降りる漆黒の帷に抗い 遥かな水平線を壊すように 燃え流れる黄金 波打ち際で手の平に受けた潮に 慰めの言葉があるかと聞けば 忘れ去るための時間は 充分に残されていると 静かに笑うだけなのだろうか 掬い上げた潮は指の間をすり抜けて 濡れた手の平に我に帰る時...

 
 
海にきく

海にきく 人の作る喧騒が 幕を下ろした浜に座り 何時間もただ聞いていた 見ない、聞かない、感じない わたしにのしかかるものを封印して 追い払って閉じた目で 塞いだ耳で からにした心で 海に広がる水音を 何時間もただ聞いていた 風を受け入れた海はその証に立ち上がり...

 
 
雪の落ちる日

雪の落ちる日 雪の礫が胸の中を舞えば それはそれは綺麗でしょう ポッと花が咲くように 滲んだ赤を凍らせて 遠巻きに眺める雪景色 背中の傷は容易には見えず 気付いた時には かさぶたと化す マッチ売りの少女はきっと絶望した 手持ちのマッチを擦ったとしても それだけでは...

 
 
ロゴ3.PNG

 © 2017 Midori Yoshida

© Copyright
bottom of page