春の手触り吉田翠4月9日読了時間: 1分春の手触り意味もなくすくいとった雪解け水に、一輪二輪をさして窓辺へ置いた。薄く柔らかい日差しに、またこの季節が来たのだと、吐息をひとつ。長い時間の足跡に立ち上がる、心細いメロディ。ひんやりとした水の中にその身を置いた小さな花は、少しばかりの風を受けて揺らぎ、揺らぎ……わたしの視線は窓の外へ滑っていった。