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浮き雲よ遠く遠くへ

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2024年1月11日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年1月23日


浮き雲よ遠く遠くへ



いつのまにか薄く伸びた雲は


まるで綿菓子の最後のひと巻き


たおやかな風は


熱と匂いのある景色を忘れ去る


わたしの歩く道が途切れるように


なにかと空を見上げる癖は


いつついたのだろうか


色付く前の落葉樹は


移ろいゆくものの躊躇いを見逃す懐


ならば教えて欲しい


後ろに置いた荷物を


再び背負うか置き去りにするか


この身はどちらを許すのか


今も耳に残る季節の残響


浮き雲の遠く遠くへひぐらしよ






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