神々の記憶
- 吉田翠

- 5月21日
- 読了時間: 1分
神々の記憶
縁が欠け苔がむす石段に
神の系譜を記した
粘土版を抱えたまま
ひしゃげた身体を横たえた
禁を冒した己の罰は
言葉を語る口の封印
吟遊詩人にとってそれは
顔を無くした己と同義
睨むな
光を落とすな
明星のイシュタルよ
この身が
黄金の光に対峙できる
土となり
やがてこの場所が
旧址と呼ばれる頃には
古物語として
尊厳の中ですべからく
遠い記憶となるだろう
それまでは如何ように語られようと
甘んじて
道ゆく幾多の詩人の
手に落ちていく事を
受け入れるまで

