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色付く里に
- 吉田翠
- 2020年12月16日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年1月23日
色付く里に
観光地から少し外れた山あいの里。 お地蔵様に手を合わせる若くはない親子がいました。
たっぷりと季節の風に包まれて、とりどりに色付いた木々の葉は、あと少しで土に還る支度をしているかのようです。
髪に白いものが目立つようになった息子は何を。
腰の曲がりかけた母は何を思い、手を合わせていたのでしょうか。
まるで 沁み入る山の色を映したかのように薄橙に染まった空は、立ち上がり互いを気遣うように歩くふたりの背中に、そっと手を当てがっているかのようでした 。
日本の秋は、深まってゆきます。