花の吹雪く下で吉田翠2024年4月8日読了時間: 1分更新日:2月21日花の吹雪く下で桜の枝先につくほどけた花びらに去年の花を思い出す風の揺らぎいくらか水を含んだ空気の重さ霞の切れ切れからのぞく空の色ヒダにしまった傷のいたわりこうしてそれらを引き連れて来る年来る年にやってくる積み重なった去年の花桜の枝先につくほどけた花びらに思いもつかない次の年の花しばし時が止まるひとひらふたひらほどけゆく桜の木の下でわたしはいつかの吹雪く花の中に身を預けた