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言葉を失くしたわたしは

  • 執筆者の写真: 吉田翠
    吉田翠
  • 2020年12月16日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年1月23日

言葉を失くしたわたしは


言葉を失くしたわたしは 青い小鳥のように 今日もさえずる 言葉を失くしたわたしは たっぷりと豊かに そして可憐に その通る路々で 揺れる花々にキスを贈る 少し困ったふりをするのは とても良く見えてしまった時 それは誰かの背中で揺らぐ 蜜のような淪落への多招き 言葉を失くしたわたしは わたしの手の中にある 純白のブーケを今日はどうしようか

明日はどうするだろう と、しばらく考えても きっと衣のヒダに隠しながら さえずるのでしょう わたしは し・あ・わ・せ





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