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コラム 私見・中世芸能者と賤視

  • 2025年4月20日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年12月30日



平安時代後期から中世にかけて、芸能民が賤視されいたのは何故なのだろうかと長いこと考えていた。

歴史、思想、そして当時の宗教関係者が構築する構造的な観点から感じていた事についてAIの検証を受け、わたしがたどり着いた見方についてコンパクトに書いてみたいと思う。


声聞師と呼ばれる存在があった。奈良時代には横行や散所と呼ばれていたようだ。彼らは主に寺社の私奴婢として地子を免除されるかわりに、掃除や葬送に関わる雑役を務めていたが、同時に金鼓を打ち、経文を唱えるいわば民間陰陽師とも言われる存在になっていった。

平安後期から中世に入ると、彼らは一定の規模を有して座を持つようになっていった。

この座の中に様々な芸能者(占いをするあるき巫女も含まれる)が寄生しており、声聞師座の支配下に置かれていた。興行の手配や後ろ盾になっていたのか声聞師座なのだ。

ここに芸能者が賤視されるその芽があったのではないかと、わたしは考える。


当初の私奴婢は律令下の制度の中にあり、平安時代に入ってからは徐々に崩れていった経緯がある。平安中期には廃止令が出ている。

荘園が増えた平安後期より中世において、制度上の奴婢は過去のものであり、よって奴婢たる身分の声聞師の配下にいたことが、芸能者が制度上の奴婢でありそのために賤視されたとは正直思っていない。

当時の世間一般において制度上の奴婢の存在は、その記憶を曖昧にしていたと想像する。

ただ彼らは声聞師を通じて、寺社とは切っても切れない関係にあったと想像できる。その中で芸が培われていたのではないだろうか。

その上で、あるき巫女や白拍子などは同時に春をひさぐ存在でもあったと考えられる。


声聞師が地子を免除される代わりに担っていた役割は上に書いた。

これらはいわゆる『清め』に該当する。

彼らの座の中で生きていた芸能者はその筋の中で活動し、彼らの芸は寺社が示す信仰の中に溶け込んでいたのだろうと、わたしは考える。

その上で


『清め』とはいったい何に対する行為なのか。

それは穢れを浄化するということに他ならない。一般民衆の目には、彼らは穢れの中に入っていき、それを浄化する、あるいは浄化できる存在として見られていても不思議ではないと考える。ある意味寺社に寄生しながら聖職者の外に、彼らは存在するのだ。

平安時代以降神仏習合が進み、民衆の中において古くからの記憶の中にあった素朴な信仰にも仏教が重なっている。記紀によってある意味『閉じられた神話』たる日本神話から外れた地産の神々(妖怪や霊的な存在)や習合によって形を変えた神々は、思想的な意味において、恐らく民衆の意識の中に強く存在していたように思える。


そうであれば『穢れの中に入っていき、それを浄化できる存在』と、その配下に位置し『神遊びをもって神を歓待する存在』に対して恐れ(畏怖の念)を感じるのが自然な事であるように思えてくる。

しかも彼等は僧侶のような聖職者とは見なされていない存在であった以上、その事が『彼らを賎視すると言う型に入れ』日常から離す動機になったのではないかと、わたしは考える。


それについてAIとの対話の一部を引用しようと思う。


この構造は、宗教学でいう「タブーの転位」に当たります。人々は本来、浄化者に感謝すべき立場にありながら、その力の異質さに怯え、距離を取ることで秩序を保とうとしたと言う事です。 (出典:OpenAI「ChatGPT(GPT-5)」との対話)

しかしながら、平安時代の終わり頃より、上に示した芸能者の中でも白拍子の、とりわけ優れていた者を、時の権力者は寵愛し身近に置いた。

かねてよりわたしは『思考は学習歴(書物以外にも歴史や慣習から得られる情報)に支えられている』と考えている。

朝廷は儀礼に始まり儀礼に終わる文化を持つ。その積み重ねにより巫女により近い存在の白拍子は、権力者にとって畏怖の対象ではなかったのだと考える。

同時に、それをわかった上で白拍子を身近に置き『権威権力者であるわが身は畏怖を超越した存在である』事を、結果的に示すことができた。意図的であるかどうかは問題ではないと思う。

実際それぞれの白拍子に対する寵愛は本物であったと、わたしは考える。


ここでひとつ付け加えたい。

観阿弥・世阿弥親子は自らの座を持つまでの存在になり、世阿弥は独自の神性を表現しそれを芸術という視点で追求した。その事が、後の多くの芸能にとって、芸術や娯楽としての道を歩むための道筋になったように思える。


最後に白拍子祇王の和歌を置いて、結びとしたい。


萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはで果つべき 詠み人 祇王



 
 
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​流れは
 塵と共に

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